創立150周年に向けて

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  • 岡山大学副学長 許 南浩 ~岡山大学医学部の10年ルネッサンス~
  • 岡山大学医学部長 吉野 正 ~「創立150周年」の意義~
岡山大学副学長 許 南浩

我々の原点に立ち返る。岡山大学医学部の10年ルネッサンス

創立150周年記念事業実行委員会の設立
岡山大学医学部・鶴翔会は、創立150周年に向けた10年間をルネッサンス期間と位置づけ、21世紀の新たな飛躍に向けた創造的な取り組みを展開することとなりました。本広報誌を発行する創立150周年記念事業実行委員会はその活動の中心であり、先導役を果たすものであります。この度の記念事業は、単に創立150周年を寿ぐのではなく、岡山大学医学部の多くの先輩諸氏が築いてきた良き伝統を受け継ぎ、次の時代を見据えた更なる発展の礎としていくことが重要と考えております。そのためには、考え方、基本理念を明示し、堅持して、事業推進にあたらなければなりません。
何故、今「ルネッサンス」なのでしょうか?
14~16世紀のイタリアを初めとする西欧諸国で起こったルネッサンスは人間復興とも訳されるように、考えること、判断することの多くを神(具体的には神と人を仲介する教会関係者かも知れませんが)に委ねていた中世(暗黒)時代を抜けて、再び人間が自らの輝きを取り戻し、主体的に考え行動しようとする試みではなかったかと思います。近年、医学・医療は大いに進歩しました。しかし、静かに振り返ってみると、私たちは激しい科学の進歩や溢れる情報に取り込まれて、人そのものを主体に考える姿勢が弱体化している恐れがないとは言えません。医療に対する国民の不満も、このことと無関係ではないと思います。岡山大学医学部の伝統は、その出身者が地域の第一線の医療機関で病に苦しむ人々に直接向かい合って高度の医療を施し、同時に医学部・大学病院はそのような人を育て、先端医療を開発して支援をしてきたことにあります。私たちは今こそこの「人」を基軸とする医学・医療への取り組み、一言で言えば「あなたのそばに先進医療」という原点に立ち返って新しい時代の要請に応える存在になろう、というのが、10年ルネッサンスの基本理念だと思います。この回帰すべき原点は、岡山大学医学部創生期の熱い志であり、長い歴史の中で常に追い求められてきた究極の理想であり、個人史ならば医を志した初心でもあるでしょう。
心は形に表れ、形は心に働きかける。
岡山大学医学部はこのように自立した主体性のある人間が集い、お互いに切磋琢磨して学び合う場でありたいと思います。その絆は学内だけではなく、鶴翔会会員は勿論、広く地域の医療人、さらには一般の社会にも広がっていきます。このように開かれた環境の中で初めて、「心」「知識」「技(Art)」の三要素を兼ね備えた人材を育てることができるのです。心は形に表れ、形は心に働きかけます。従って私たちは形にも心を砕かねばなりません。「形」とは、人の立ち居振る舞いから始まって、人が相互に作用し合うシステム(教育、医療を含めて)のあり方、建物やキャンパスのたたずまい、すべてを含むものだと思います。計画の中にある新ホールの建設や医学資料棟の復元・改修も、こうした人の心、活動、絆の中に位置づけられてはじめてその輝きを持つのだと思います。岡山大学医学部並びに鶴翔会の会員、関係者が心を一つにして協働し、この10年ルネッサンスの取組が次世代育成、医療、ひいては社会一般において次の時代を切り開く原動力になるように、心より願ってやみません。

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岡山大学医学部長 吉野 正

岡山大学医学部長 吉野 正 ~「創立150周年」の意義~

150周年という節目を次の150年につなぐ
岡山大学医学部が明治3年(1870年)の岡山藩医学館創立から数えて150年を迎えようとしています。これまでを振り返りますと、約12,000人の卒業生は、診療、教育研究、行政等々、様々な方面で貢献してきています。社会における医療というピースは、医学の分野だけのものではなく、様々な地域社会や国内外の関係にも及びます。そういう視点で振り返ると地域の方々をはじめ多くの人々に支えられてきたことが理解できます。2010年に140周年を迎えた時に、2020年までの10年間を岡山大学医学部ルネッサンスとして様々な取り組みに取り組んでまいりました。それらは、教育・研究・診療に多くの種が蒔かれ、育ってきております。目に見える形の実を結んだものもありますが、さらに力を尽くす必要性のあるものが数多くあります。特に、人材育成に関わる取り組みは、持続性を求められます。医学館の企画書ともいえる「医学館永久愚考」(1867年)には「医学館永久ノ基本ハ先ツ良師ヲ選挙シテ教授ヲ命スルニ在リ。次ハ生徒ヲ集ルニ在リ、上ハ藩医ノ子弟ヨリ下ハ市医村医ノ子ニ至ル迄令ヲ下シテ入学セシム可シ。生徒学業成熟シテ治術行レ声明籍甚ナル者ハ見身ニ俸米ヲ賜ヒ、或ハ召出シテ格禄ヲ賜ルベシ。教授欠ルトキハ、彼ノ声明籍甚生ノ中ニ於テ最秀タル者ヲ挙テ教授トス可シ。」とあります。ここには、我々の先輩たちが譲らずに守ってきたことの本質があると思います。そういう中での150周年ですので、これを単なるお祭りに終わらせることなく、次の150年に続く節目としたと思います。

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